Sport Coat, High Count Cordlane/Workers
Workersが伝えたいこと
2019年春夏のジャケットは基本に立ち返って、3つボタン、上二つ掛け、センターベント。
胸パッチ、腰パッチ&フラップ。
また私の中で1960年代アメリカントラッドが強くなってきていて、
胸箱ポケとか、四つボタンから戻ってきた感覚なのです。
(この感覚がお客様と合えば良いのですが)
コードレーン、実は使うのは初めて。
今まではシアサッカーが多かったのですが初めて「夏のコットン素材代表」に登場してもらいました。
ただ、コードレーンは生地が固めでなので真夏は避けましょう。
しっかりしている分、雑に扱っても壊れる心配は少ないです。
作りは大見返し、袖裏無し。袖口は開きがあるので、袖丈直しをするときは袖ぐりで。
ただ、トラッドジャケット的に袖先のシャツがのぞくよう、
少し袖丈自体短く作ってあるのでそうそう寸法直しは必要ないと思います。
ボタンダウンやラウンド、ワイドスプレッド、襟型を選ばないシャツとの合わせがおすすめです。
製品はワンウォッシュ済です。
By.WORKERS
商品の詳細
ベーシックなノッチドラペル・三つボタンの上二つ掛け。背中心は袋縫い+倒し。ここだけで
・裁ち端を地縫い
・上り線で自縫い
・倒してステッチ
と3回縫う、なかなか時間のかかる仕様。でも、このBlazer、Sport Coatには手間かけてもきれいに縫う仕様で全体に「丁寧に作られてるクロージング」な雰囲気を出したいのです。
コードレーン、どうしても画像だとモアレが・・・実物はぱっと見無地に見える素材。
フラワーホールは開きなしの飾り。胸ポケットは樽型、左右非対称型。
スーツ(組)ではない上着、これをアメリカでは「Sport Coat」と呼ぶようです。アメリカのトラッドメーカーが作る通販カタログを見ても、ほぼ間違いなく「Sport Coat」とあります。こちらは練りボタン。
ジャケットを作る時裏地がない場合、悩むのがこの見返しの止め方。後身の上のほうにだけ「背裏」をつける方法もありますが、それよりもっと薄く、軽くしたい。
そこで考えたのが、ジャケットの身頃を3面構成にして、その縫い目に止めつける方法。
ただ、この方法をやるにはパイピングだと厚みが出るのでいまいち。そこで・・・
・身頃を細くロックする
・それを折ってロックを裏に隠す
・身頃を地縫いして割りアイロンをする
・その割った部分に見返しの乗せて止めつける
という方法を取っています。これで、身頃にたたきつけなくても見返しはきれいに収まります。
袋布は向こう布(表生地と同じ生地)はつけていません。薄く仕上げたいのでこのジャケットは前身に芯は入れていません。そのため、この袋布に向こう布があると、どうしても、表に向こう布の跡が素材によっては出てしまいます。本当は、内ポケットすら取ってしまおうかとも思ったのですが、そこはジャケットの機能性として残しました。
袖口は本開き。筒にしてしまってもよいのですが、春物のジャケットはちょっと袖をまくりたい・・・なんて時もある!と信じての仕様です。
袖丈直しは、お直し屋さんに「袖ぐりで」とお伝えください。
開き部分の角は額縁始末。見えない部分もできるだけきれいに作りたいので、これも若干手間ですが額縁にしています。
手間がかかるのは、別に良いのですが、単純に手間=時間がかかる=コストがかかる=製品の値段が上がるので、その手間をかける始末にするかどうかは常に悩みます。
よく「職人泣かせ」とか「工場泣かせ」なんて、言われますが、どんなに手間がかかろうと、それを作るのに十分な時間と、コストが出さえすれば工場も職人も泣きません。
工場や職人を泣かせるような、作りづらい仕様や生地を選んだり、設計しているなら、それは我々企画メーカーの怠慢や、単なる自己満足です。
製品を企画(というより私は設計に近いと思うのですが)するときは、独りよがりにならず、いかにその仕様に意味があるのか。手間をかける意義があるのかを考え、そのうえで、最後の最後は「我を通す部分」があるのだと思います。この額縁は我を通した部分で、多少のコストアップをしてでも、本開きを開いたときの美しさを優先した部分です。
フロント裾に向かう丸み、これが脇に向かって急激に切れているといわゆる「カッタウェイ」が強いと呼ばれるとてもクラシックに見えます。今期のBlazer, Sport Coatはもっと中庸に。ごく普通の「ジャケット」なカーブにしています。
脇ポケットは脇の縫い目に乗っています。現代のジャケットでは、この部分、ダーツで処理することが多いのですがWORKERSでは縫い目を先ほどの見返し止めつけに利用する都合もあり、裾までパーツを分けています。
商品の仕様・寸法
●素材
コットン100% ハイカウントコードレーン 6.4オンス
●付属 練りボタン
●縫製 総スパン糸
●価格 30,000円(税抜き本体価格)
●寸法
36サイズ:
身幅….50.0 cm
肩幅…43.5 cm
着丈…70.5 cm
袖丈…60.0 cm
袖口幅…13.5 cm
38サイズ:
身幅….53.0 cm
肩幅…44.5 cm
着丈…71.0 cm
袖丈…61.0 cm
袖口幅…13.5 cm
縫製および洗い、また採寸方法による誤差はご容赦ください。
Workers K&T/ワーカーズは、古いアメリカ・ヨーロッパのウェアを基本に再現しつつ現代に合わせたものづくりをしている岡山県のブランド。オリジナルそのものを解体し、資料を辿り、時代背景にまで深く深く踏み込んだうえ、あくまで実用性に則した変更を加えていける柔軟性に私たち雑貨屋マメチコは強く惹かれます。古着好きの「こうであって欲しい」を残しつつ、あくまで「今」着るために必要な要素を加えてリリースされる製品はクオリティと値段のバランスも良く、自信を持っておすすめできる製品です。