上記の男性モデルは身長168cm 体重55kg 肩幅44cm 胸囲93cm ウエスト73cmです。
モデルが試着しているのは「Sサイズ」です。普段はWorkersのSサイズや36サイズを着ている体型です。
◆雑貨屋マメチコが伝えたいこと◆
モッズコートやモッズパーカーの愛称でお馴染みの「M-51パーカ」がモチーフ。
実物そのままのディテールではなく、実用に則した仕様にアップデートされてのリリースです。
「ゆとりのある一重のコートをベンタイルで作りたい。」
要素を満たすものとして選ばれたのがM-51パーカであって、
その再現を目指したものではないというところが本作の面白いところでしょう。
モッズと呼ばれた若者達が好んで着用したことからモッズコート、
モッズパーカーと呼ばれるようになったのがM-51パーカ。
細身に仕立てたスーツに身を包み、
カスタマイズしたベスパやランブレッタなどのスクーターを足にする彼らにとって
一張羅のスーツを保護し、運動性も高い M-51 は最適だったんですね。
モッズが愛用したパーカー付きコート=モッズパーカー、モッズコートと呼ばれるようになったんです。
参考画像:1950's U.S.ARMY M-51 Parka」( Vintage by Mamechico. )
その後ファッションとして定着したモッズコートは現代でも多くのブランドからリリースされているのですが、
大きくたっぷりしたシルエットをマイナス要素として捉えるのか、スリムに変更されることが多いようです。
身幅や腕の太さは「野暮ったい」と捉えられがちですが、この先入観はちょっともったいない見方だと僕は思っています。
たっぷりと設計されたものを着たときに生まれる生地のドレープ感や、絶妙なバランス感。
これらは大きく作られている服ならではですね。
サイズ感で遊ぶ楽しさを知るのに「M-51」というアイテムはぴったりで、
用途に則して大きいものの格好良さを教えてくれる代表格ともいえるでしょう。
実物を知っている人にとってスリムに変更されたものに違和感があったり
それでもなお試して、結局実物のM-51を手放せないというのも、その辺が理由になっているんだと思います。
僕にとっても、思い描くM-51はたっぷりとしているイメージ。
そんな気持ちで見たワーカーズの「M-51パーカ モディファイド」は魅力的にうつりました。
最も重要な「たっぷりさ」を適度に残し、しかも素材にはベンタイルで用いたこともあって機能性は向上しています。これだけで僕には十分に訴求力がありました。
展開色とのマッチングが良いのも本作の魅力。
もとはミリタリーアイテムだからオリーブはもちろん素敵ですが、軽く爽やかな印象を与えるライトベージュや
落ち着いたネイビーも抜群の相性です。
らしいバランスや、良い許容量の服は、容姿をより美しく見せてくれます。
ベンタイルで仕立てた、ちゃんと「たっぷり」としているM-51。
サイズ感で遊ぶ楽しさを教えてくれるでしょう。
By.Mamechico
◆WORKERSが伝えたいこと◆
昨年、国産ベンタイルでSpring Coatを作りました。
裏地付きで、袖のすべりも良い、保温性もある。
どちらかというと、シャツの上に1枚でといった組み合わせで着ることが多かったそうです。
そうなると、今度はこのベンタイルを一重で使ってみてはどうだろうかというアイデアが。
ただ、一重となるとある程度ゆとりがないと袖が入れづらい、動きづらい。
そこで、ゆとりのある一重コートと考えた時にM-51パーカを思い出しました。
オリジナルは中に脱着式のライナー。
ウエストにスピンドルがあり、裾は「フィッシュテイル」と呼ばれる独特のカッティング。
これらは、羽織りものとしてオミット。
逆にM-51らしさとして残したのが、袖口の調整機能。
オリジナルはゴムを使っていますが、ほとんどがダルダルに伸びてしまっているのでゴムは無し。
フロントの大型ファスナーはYKKのオールドアメリカン。
滑りが良く、また雰囲気もこのコートに似つかわしいもの。
シャツの上はもちろん、ジャケットの上にも羽織れるゆったりとしたシルエット。
袖も肘を太めに作っています。
2000年代後半以降、ほぼすべての洋服が細身主流に。
今ではその揺り戻しか、そのものらしいシルエット・型紙に惹かれます。
肩は少し落ちる、アームも肘もある程度ゆったりと。
素材のベンタイル、今回は平織の物を。
60番双糸を高密度に織りあげ、さらに撥水加工を施しています。
By.WORKERS
フードのついた襟周り。これがM-65 Parkaになると、立襟のみになりますが、フードがついているのがM-51 Parkaの特徴。
フード部分は生地が二重に成り、一枚のベンタイル以上に水の侵入を防いでくれます。
フロントはファスナーと隠しスナップ仕様。
フード周り、生地が二重に成っているのでそこにステッチを入れてスピンドル(ヒモ)が通る道を作ります。その出口にはと目を打って紐を出す。
スピンドルの先は金属チップで止め、絞り具合の調節は革パーツを使いました。
肩・袖ぐりは巻き縫い。袖ぐりには、一本中に地縫いを入れています。
高密度な生地なので、縫いなおすと針跡が残ってしまいます。そのため、一発で巻き縫いするよりも一本止めを入れてからの方がより綺麗に縫えるからです。
以前のWORKERSであれば「なんでもかんでもオリジナルと同じだ!!!」と仕様を決めがちでしたが、今は、現代の感覚、より綺麗に確実に縫える仕様を適宜取り入れています。
フロントは大型ファスナー。YKKのビンテージファスナーラインを使っています。
ファスナーの付けどまりにはカンヌキで補強を。
ファスナー引手には綿テープを。
ウェスト・裾にはスピンドルを入れていません。
街着としては実用性に乏しいのと、一番怖いのが巻き込み防止のためです。私自身、工場で長く勤めていたので、紐がついたような服。フードであれば、だいぶ首に近いので良いのですが、ウェストや裾に紐が付いた服は極力着ないようにしていました。そんな経験から、つい自分が作る服も不要と思うスピンドルは取ってしまいます。
フィッシュテイルも無し。Less is moreの精神で、シンプルに仕上げています。
ここも、オリジナルは物がこぼれ落ちない、独特な仕様なのですがその代りに手が入れづらい。そこで、あえて普通に。玉縁+フラップにしています。
これも、オリジナルとは違う部分。オリジナルはゴムが入っていて、生地がトンネル状に成っています。ただ、そのゴムが伸びきってしまっているのがほとんど。そこで、タブで袖口の調節ができるよう仕様を変えています。
ポケットにはWORKERSのミリタリーネーム、さらに国産ベンタイルであることを示すネームが。
背面のダーツ。これは取りません。ほんのわずかな部分ですが、このダーツで肩甲骨周りに必要な丸みを出してくれます。
MA-1にもあるこのダーツ。ミリタリーウェアらしさを象徴する仕様です。
●品名 M-51 Parka Mod, Ventile, Beige
●素材 コットン100%・ベンタイル
●附属 オールドアメリカンファスナー
●縫製 総スパン糸
●価格 34000円(本体価格)36720円(税・配送料込)
●寸法(平置き採寸)
Sサイズ:
身幅…52.0cm
肩幅…49.0cm
着丈…76.0cm
袖丈…62.0cm
袖口幅…15.0-13.0cm
Mサイズ:
身幅…56.0cm
肩幅…51.0cm
着丈…78.0cm
袖丈…63.0cm
袖口幅…15.0-13.0cm
※サンプル実寸を測り各サイズにグレードしています。縫製および洗い、また採寸方法による誤差はご容赦ください。
Workers K&T/ワーカーズは、古いアメリカのワークウェアを基本に再現しつつ現代に合わせたものづくりをしている、岡山県倉敷市のブランド。デニムの聖地、岡山県倉敷市で企画・生産されています。
オリジナルそのものを解体し、資料を辿り、時代背景にまで深く深く踏み込んだうえ、あくまで実用性に則した変更を加えていける柔軟性に私たち雑貨屋マメチコは、強く惹かれます。古着好きの「こうであって欲しい」を残しつつ、あくまで「今」着るために必要な要素を加えてリリースされる製品はクオリティと値段のバランスも良く、自信を持っておすすめできる製品です。