「デザインについて」
2014年秋冬カタログの表紙を飾ったアイテムということもあって印象に残っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
過去にワーカーズがリリースした Maple Leaf Jacket を例に挙げれば、
あちらは三つボタン段返り、細めのラペル、高いゴージー、フックベントを特徴とした60年代風だったのに対し、
本作 King Porter Jacket は大きめのラペルや、少し下がったゴージ線。
フラップの付いたポケットにはチェンジポケットのディテール。ベントが存在しない裾周りなど。
もっと古い年代をモチーフとしたクラシカルなジャケットに仕上がっています。
ウィンドウペーンのチェック柄が雰囲気をさらに盛り上げていますね。
「生地について」
本作で使用されているウールはシェットランドウール。
その名のとおり、シェットランドで飼育された羊から取れるウールで、
糸屋さんが商社さんと一緒に買いつけに行き、どこでいつ飼育されたものかまでトレーサビリティが取れる物です。
本来、ツィードに使う「紡毛」は短く、太いウールに向いています。
一頭の羊からも、外側や腹回りの繊維が短いカールが強い部分と、背中の汚い層の中にある綺麗な、繊維も長い部分とあります。
シェットランドウール自体、それほど量が取れないのでその腹や表面のウールは布団・カーペット等用に買われることが多く
ある意味ツィードを作るには高級すぎる真っすぐな長い部分しか残りません。
あえてその長い繊維、真っすぐな部分のシェットランドウールを1/3ぐらいに切って、
もっと繊維が細いメリノウールのボア部分と混ぜて糸を作っています。
結果、シェットランドウールの固さと、メリノウールの柔らかさ、どちらも兼ね備えた糸が出来上がります。
もう一つ、今回の素材の特徴が「バージンウール」である事。
ウールはリサイクルが非常に進んでいます。
それ自体、素晴らしい事なのですが、今回のツィードに使った糸は一度も製品になっていない羊から取れたウールをそのまま糸にしています。
ウール70%などの場合はたいてい、リサイクルウールが使われるそうです。
リサイクルの過程でウール以外の物が混じるので、ウール70%・ナイロン20%・その他10%といったように混率が表記されます。
また、一度製品になったウールを粉砕する際に繊維が短くなるので、化繊などでツナギを入れないと強度のある糸にならないとのこと。
今回の糸はウール100%。あえて長い繊維を切るぐらいなのでツナギを入れなくとも強度のある糸が作れるそうです。
生地はその糸を使ったウール100%、岐阜羽島で織られたツィードで仕立てています。
海辺で育つ羊から取れるウールは独特の荒々しい風合いもあって良いですね。
上質な素材に、相応しいデザインが伴った一着です。
Workers K&T/ワーカーズは、古いアメリカのワークウェアを基本に再現しつつ現代に合わせたものづくりをしている、岡山県倉敷市のブランド。デニムの聖地、岡山県倉敷市で企画・生産されています。
オリジナルそのものを解体し、資料を辿り、時代背景にまで深く深く踏み込んだうえ、あくまで実用性に則した変更を加えていける柔軟性に私たち雑貨屋マメチコは、強く惹かれます。古着好きの「こうであって欲しい」を残しつつ、あくまで「今」着るために必要な要素を加えてリリースされる製品はクオリティと値段のバランスも良く、自信を持っておすすめできる製品です。